死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
厚彦は淀みなく伝えてくる。


梓はその言葉に徐々に目を見開いていった。


「梓、どうしたの?」


「……告白するんだって」


梓はかすれた声で玲子に伝えた。


「告白!?」


玲子も驚いた声をあげたが、最後には納得したように「なるほどねぇ」と、頷いた。


「それなら梓が橋渡しになって伝えられるし、厚彦くんは手紙も書けるし、問題なさそうだね」


玲子の言葉がなぜかいちいち癪に障る。


そんなことわかってる。


厚彦は最後のギリギリまでこの世にいて、好きな子のことを見守ると、はじめから決めていたのだ。


そして思いを伝えたら、成仏する。


ダメだなんて誰にも言えない。


でも、その間の日常なんて厚彦からすればただの暇つぶしだったのかもしれない。


厚彦の好きな相手はおそらく同じ学校の子だろうから、学校内での怪異に首を突っ込んでいても不自由はなかったはずだ。


好きな子を見守りながら、暇つぶしもできる。


梓という人間はそのために選ばれたのかもしれない。
< 322 / 338 >

この作品をシェア

pagetop