死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
(でも、厚彦とあたしは別のクラスなのに)


厚彦は教材を梓のクラスに運ぶと、そのまま自分のクラスへ戻って行った。


「今の子可愛かったなぁ」


呟く声に、中にいる梓はまた顔が赤くなった。


もしかして、厚彦はこの頃から自分のことを?


軽く期待しながらも1年生のころの接点はただそれだけだった。


すぐに忘れてしまうような記憶。


現に梓はあの出来事をすっかり忘れてしまっていた。


そして2年生に上がったとき……。


「ラッキー。広中さんと同じクラスじゃん」


クラス票を確認した厚彦が呼び跳ねて喜んでいる。


(厚彦はあの日のこと、忘れてなかったんだ……)


ジワリと胸に暖かな感情があふれ出した。


厚彦がずっと自分の存在を認識して、好意を抱いてくれていたということが嬉しくてたまらなかった。


それからの厚彦はどうにか梓に近づこうと必死だった。
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