死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
どう声をかけようか。


どうやって仲良くなろうか。


教室内でムードメーカーの役割をしていたから、きっと向こうも自分のことを認識してくれているはずだ。


簡単に声をかけてもきっと大丈夫。


仲良くなってそれから距離を縮めて、告白をして。


そんな思いを募られていたある日のことだった。


親に頼まれてお弁当に入れる卵を買いに出かけた。


夜だったけれど、自転車で1分ほどの場所にあるコンビニまでた。


厚彦は男の子だし、もう高校生だし、そのくらいの頼みごとはいつものことだった。


言われたとおり卵を買い、ついでに夜食にするお菓子を買ってレジを済ませた。


後は帰るだけ。


自転車に乗って横断歩道が青に変わるのを待つ。


ここを渡れば家はすぐ目の前だった。


赤信号が終わり、青が光る。


ペダルを踏みしめる足。


買い物袋が籠の中でカサカサと音を立てた。


そうだ、帰ったら録画していたアニメを見よう。


そんなことを考えた瞬間だった、スピードを出したままの乗用車が厚彦めがけて突っ込んできたのだ。
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