死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
梓は慌てて、追いかけるように立ち上がった。


「やっと気持ちが通じた」


「厚彦行かないで」


思わず言ってしまった。


今まで我慢していた言葉。


「大丈夫。梓ならきっとみんなとうまくやれるから」


厚彦はそっと梓の唇に自分の唇を寄せた。


その行動に一瞬驚いた梓だけれど、受け入れるように目を閉じる。


2人の唇が重なり合った。


(もっと早くに気持ちを知りたかった。もっと早くに、こうなりたかった)


梓の胸に後悔がどんどん溢れだす。


でも、厚彦が梓の頬に流れる涙をぬぐうと同時にその後悔もスッと軽くなった。


「さよなら、梓」


厚彦はそう言い残し、光となって消えて行ったのだった。
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