死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

「梓、大丈夫?」


教室内にはまだすすり泣きの声が聞こえてきていて、目を赤くした玲子が心配そうに声をかけてきた。


どうやら、梓はひとりで泣いていたのだと思い込んでいるみたいだ。


「う、うん。大丈夫だよ。玲子は?」


「大丈夫だけど、やっぱりクラスメートが死んだなんて悲しいよ」


玲子の目にはまた新しい涙が浮かんできている。


それを見てしまうと梓はなにも言えなくなる。


厚彦はここにいるよとみんなに伝えたいけれど、それもできなくてもどかしい。


「そろそろ火葬される時間だな」


誰かが呟く声が聞こえてきた。


(そっか。そんな時間なんだ)


梓は教室の壁にかかっている時計に視線を向けた。


もうすぐ2時が来ようとしている。


「そろそろか……」


厚彦が呟いたので、梓はハッとして顔を向けた。
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