死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
厚彦は複雑そうな表情を梓へ向けている。


「短い間だったけど、ありがとうな」


いつになく素直な厚彦の態度に梓は視線をそらせた。


今ここで会話はできないし、いなくなってしまう厚彦になんと声をかけていいかもわからなかった。


もう一度教室を出て、2人きりになってみようか。


そうすれば、お別れの言葉くらい言うことができる。


「あ……」


不意に厚彦が自分の体を見つめた。


「え、なに?」


思わず聞いてしまう。


「なにって、なにが?」


玲子がキョトンとした表情を梓へ向ける。


「な、なんでもないよ」


慌てて苦笑いを浮かべて取り繕う。
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