死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「それはいいけれど……」


それでも梓は釈然としない気分だった。


いつまでこの生活が続くかわからないから、そのための準備をしようと言われているような気がする。


「イエスなら鼻の頭を一回触る。ノーなら二回」


厚彦は説明しながら自分の中の頭を人差し指で触れてみせる。


「もうちょっと、やりやすいのがいいな」


梓はそう言って鞄の中を確認した。


仲には教科書やノート筆記用具が入っている。


学校内でやっても不自然にならない動作のほうがいい。


「これとか」


梓が取り出したのは普段使っているシャーペンだった。
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