死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

翌日になっても当たり前のように厚彦はそこにいた。


梓と一緒に学校へ行き、生前と同じように授業を聞いている。


けれど授業に飽きると厚彦は自由気ままに教室内を移動する。


梓とは4メートルほどなら離れることができるから、生徒たちのノートを盗み見したりしているのだ。


「お、太田はさすがだなぁ。もう次のページに進んでる。先生の説明なんて聞いちゃいないな」


ハハッと笑い声を上げる厚彦。


太田はA組の中で一番の秀才だ。


学級委員長なども自らかって出て、みんなのまとめ役をしてくれている。


「こっちは全然勉強してねぇじゃん。なになに? 私の心はあなた一色、寝ても覚めてもあなたの顔がチラつくの……って、これ恋愛ポエムかよ」


厚彦の言葉に「プッ」と噴き出してしまい、慌てて口を押さえる。


厚彦が覗き込んでいたのは筋肉バカの大森くんのノートだ。


まさか、彼がこんなに乙女チックなポエムを書いているなんて、誰も思わないだろう。


「おい広中。どうした?」


こらえきれずに噴き出してしまった梓に、数学の先生が鋭い視線を向ける。
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