死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「本当に?」


「本当に本当だって。あたし、ちょっとトイレ」


親友に嘘をついているという罪悪感から、梓は一人で席を立ち、トイレへと向かった。


幸い、女子トイレには誰の姿もなかった。


梓は鏡の前に立ってふぅーと大きく息を吐きだした。


「面白かったろ?」


その声に振り向くと、厚彦がニヤニヤとした笑みを浮かべていた。


その笑みにムッとして睨み返す。


「変なことばかりするのはやめてよ! おかげで玲子に怪しまれたでしょ!」


言いながら梓は鏡に厚彦の姿が写っていないことに気がついた。


(幽霊って、本当に鏡に写らないんだ)


そんなどうでもいいようなことで関心してしまう。

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