死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
ギュッとキツク目を閉じる。


このまま気絶できたらどれだけよかったか……。


「あの、広中さん?」


そう呼ばれて梓はゆっくりと目を開けた。


目の前に立っていたのは梓と同じ北中高校2年A組在籍の手代厚彦(テシロ アツヒコ)だった。


梓は一瞬厚彦の顔を認識することができず、悲鳴を上げるために大きく口を開いた。


その口を厚彦が慌てて塞ぐ。


「あの、悲鳴をあげられたら困るんだけど」


眉をハの字にして言う厚彦に、梓はようやくその顔をマジマジと見つめることができた。


「手代……くん?」


梓の言葉に厚彦はホッとしたようにほほ笑んだ。


「こんばんは、広中さん」


「こ、こんばんは……」
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