死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
屋上の幽霊
もっと、ちゃんと謝らないと。


そう考えた梓は休憩時間に入るとすぐにひとりで教室を出た。


女子トイレに入ってみたけれど、今回は数人の生徒がたむろしておちゃべりをしているところだった。


仕方なく、簡単に手だけ洗ってトイレを出た。


「なんだ、トイレじゃないのか?」


厚彦にそう聞かれても梓は返事をしないまま……いや、人がいるから返事ができないまま歩いた。


そしてようやくひと気のない場所までやってきた。


そこは屋上へ続く階段の手前だった。


普段屋上へ出ることはできないから、生徒の姿はない。


「あのさ厚彦」


謝ろうと思って口を開いた時だった。


厚彦が屋上へ続く階段を唖然とした表情で見つめていることに気がついた。


「どうかしたの?」


首をかしげて会談へ視線を向ける。
< 52 / 338 >

この作品をシェア

pagetop