死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
ジッと屋上を見上げていた厚彦が「あっ!!」と大きな声を上げる。


そして、視線が上から下へと移動したのだ。


それはまるで、屋上からなにかが落下しているのを見ているような動き。


梓は厚彦の視線を追いかけるけれど、やはり何も見えない。


けれど、厚彦の顔色がさっきよりもさらに青くなっている。


「ねぇちょっと、どうしたの?」


さすがに心配になってきた。


「今……落ちてきた」


「え?」


「女子生徒だよ。グシュッて、頭が潰れたんだ!」


「や、やめてよそういうこと言うの!」


「どうして見えないんだよ。俺のことは見えるのに」


厚彦の言葉に梓はハッとした。


厚彦には他の幽霊が見えているのだ。


でも、自分には厚彦の姿しか見えない……。


なぜかわからないけれど、そういうことなんだろう。
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