死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
学校は学生にとって生活の大半を過ごす場所だ。


念が強く残っていると言ってもいい。


「そうかもしれない。あ、また……」


厚彦の視線が上から下へと移動する。


見えている女性が落下する寸前で、厚彦は視線をそらせた。


「ひどく苦しんでる」


「そうなんだ……」


残念だけど、梓にはその姿は見えない。


屋上へ上がることもできないから、花をそえてあげることだってできない。


グラウンドに花を置いていたら邪魔になってしまうし、どうしてあげることもできないのだ。


「苦しい、助けてって言ってる」


「でも、どうしようもないよ」


梓だって、ずっと学校にとどまっているのはかわいそうだと思っている。


だけど、幽霊が見える幽霊と、厚彦の姿しか見えない梓では、助けてあげることはできない。
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