死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「頼むよ梓。俺がカナちゃんから何が心残りなのか聞き出すから。それを解消してやってくれよ!」


休憩時間。


玲子と2人でおしゃべりをしていても、厚彦は話かけ続けた。


頭から落下していくカナのことを思い出すと、どうしてもほっておけないのだ。


カナは今でも何度も飛び下り自殺を繰り返しているはずだ。


その度に痛くて苦しい思いをしている。


しかし梓は無視を決め込んでいる。


学校が終わって帰っている間も、全く返事をしてくれない。


家に戻ってようやく普通に会話ができる状況になっても、「宿題があるから」と言って取り合ってくれなかった。


本当に嫌なんだろうな。


そんなことはわかっていた。


生きている梓が死んでいる人間に関わりたくないと思う気持ちも理解できる。


だけど梓はすでに自分と関わってしまっているのだ。
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