死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

「キャアアア!!」


悲鳴と同時に上半身を起こした。


全身に汗がにじみ、鼓動が速い。


見た夢のせいでしばらく気が動転していた梓だけれど、気がつけばそこは保健室だった。


「あ……」


(そうだった。あたし、体育の時間に倒れたんだった)


思い出してホッと息を吐き出す。


それにしてもヒドイ夢を見た。


死んだ厚彦が自分の部屋に出てくる夢なんて……。


そう思った瞬間「大丈夫か?」と、逆さまに浮かんだ厚彦が梓の顔を覗き込んできた。


再び悲鳴を上げそうになった梓の口を咄嗟にふさぐ厚彦。


その手は信じられないほど冷たい。


「び、ビックリさせないでよ!」


ようやく手を離してもらえた梓はさっそく文句を口にした。


あの夢を見た後で逆さまになった厚彦を見て、悲鳴をあげないわけがない。
< 70 / 338 >

この作品をシェア

pagetop