死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「もしかして、あたしが寝てる間ずっとそこにいたの?」


「当たり前だろ? 遠くには行けないんだから」


「そうだけど……」


気絶同然の寝顔を見られていたのかと思うと、気分はあまり良くない。


厚彦のことだから、マジマジと梓の顔をながめていそうだし。


「寝てる間にもずっと話しかけてた」


「まさか、カナさんのこと?」


聞くと、厚彦は頷く。


梓は大きくため息を吐きだした。


悪夢の元凶はやはり厚彦だったようだ。


「そこまで頼まれても、あたしには何もできないってば」


「だから俺がいるんだろ? 俺はカナさんのことが見えるし、会話もできる。それを梓に伝えるからさぁ!」


「そんなこと言われたって……」


確かに、厚彦の言うことを実行すれば、カナさんの無念を晴らす手伝いができるかもしれない。


けれど梓としては、これ以上幽霊に関わり合いたくないのだ。


幽霊は厚彦ひとりで十分だ。
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