死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
別に、変わった様子はない。


もう一度チャレンジと、また厚彦の手を握ろうとする。


しかし、それはやはりすり抜けてしまって掴むことができないのだ。


「ごめん。俺が何かに触れることはできても、相手が俺に触れることはできないみたいだ」


厚彦は今の出来事を冷静に分析している。


「は? 嘘でしょこれ、なんの冗談?」


梓は少しムキになって厚彦に触れようとする。


だけど全然ダメだ。


少しも触れることができない。


最後には厚彦の体を抱きしめようとしたけれど、それもすり抜けてしまった。


「そういうこと、生前にやってほしかったなぁ」


厚彦は心底悔しそうにつぶやく。


「なにバカなこと言ってるの!? どんなマジックを使ってるの? あ、わかった! 最新技術のVRかなんかでしょ! 手代くんの体はどこか別の場所にあって、それが投影されてるんだ!」
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