死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「そうですね。あの……昔の制服はどうだったんですか?」


話しをつなぐため、梓はそう聞いた。


「昔は紺色のブレザーで、地味なものだったのよ」


「そうなんですね」


「それでもカナにはよく似合っていたのよ」


「カナ……?」


梓はゴクリと唾を飲み込んで聞く。


「そう。私の娘よ」


「カナさんは……今は……?」


質問しながら心臓がドクドクと音をたてはじめる。


手の平に汗が滲み、踏み込んではならないところまで踏み込んでしまったのだと自覚した。


「あなた、新聞部よね? カナのことが聞きたくて来たんじゃないの?」


女性の口調は今までとなにも変わらなかった。


梓は女性の顔を直視することができず、うつむく。


「いいのよ。もう50年も前のことだから、なんでも話すわよ?」
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