死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「カナさん。あなたはイジメにあっていたんですか?」


なにもない場所へ向けて厚彦が聞く。


梓の耳には厚彦の声と、グランドを走る生徒たちの声しか聞こえてこない。


だけどここには確かにカナさんがいるのだ。


梓はそっと足を踏み出してみた。


少しでもカナさんの存在を感じ取ることができないか、近づいてみることにしたのだ。


なにもない空間へ手を伸ばす。


「梓?」


厚彦が不思議そうな顔をして声をかけてくる。


「なにか、あたしにも感じ取れないかと思って」


返事をしたその時だった。


スッと冷たい空気が延ばした手に絡みついてきた。


驚き、動きを止める。


これは厚彦が部屋にいたときに感じた寒気とよく似ている。


「今、そこにカナさんがいる」


厚彦が言う。
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