死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
(あたし今、カナさんに触れてるのかな?)


そう思った瞬間だった。


梓の視界からグラウンドが消えていた。


代わりに現れたのは木造の校舎だ。


(ここ、写真でみたことがある……)


記憶に新しい、50年前のアルバムで見た景色がそこにあったのだ。


周囲を確認してみても厚彦の姿がない。


声を出して呼ぼうとしても、声がでなかった。


それだけじゃない。


手も足もまるで自分のものじゃないようにコントロールがきかないのだ。


梓はまっすぐ延びる廊下を歩いていた。


だけどなぜか靴下で、上履きをはいていない。
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