死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

それからカナさんは切り刻まれた上着をゴミ箱に捨て、髪の毛を整えてから1人で帰路についた。


それはあのアパートだった。


玄関を開ける前に一旦立ち止まり、手鏡で自分の姿を確認している。


引きずりまわされた時、机にぶつかって頬にアザができていた。


カナさんは髪の毛を垂らしてそれを隠す。


そして1度、鏡に向かってニッコリとほほ笑んだ。


それからようやくドアを開ける。


「おかえりカナ」


カナさんを出迎えてくれたのは、あの女性だった。


まだ若く、栗色の髪の毛は艶々だ。


その顔には梓にも向けてくれた、優しさがあった。


「ただいま! お腹空いちゃった、今日のご飯はなに?」


カナさんは元気いっぱいの声で言い、キッチンへ向かう。
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