死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
鍋の中にはシチューが入っていた。


「やった! 今日はシチューだ!」


「できあがるまでもう少し時間がかかるから、宿題してらっしゃい。その間にお父さんも帰ってくるから」


「はぁい」


カナさんはスキップしながらキッチン横のドアを開ける。


そこがカナさんの部屋らしい。


部屋に入ってドアを閉めた瞬間、カナさんの顔から笑顔が消えた。


電気もつけず、ぐったりと床に座り込む。


頬が痛むのか顔をしかめ、鞄をおろすと中の教科書などを取り出した。


しかし、どれもこれもマジックで真っ黒に塗りつぶされて勉強することができない。


ノートも同様だった。


(これも、あの3人にやられたんだ……)


それでもカナさんは家の中では気丈にふるまっていたのだ。


両親を心配させたくない一心で、ひとりで抱え込んでいたんだ。
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