死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
カナさんはその後、机に向かった。


白い紙とペンを取り出して書き始めたのは……遺書だ。


その文字に梓はハッと息を飲んだ。


カナさんは遺書を準備していた?


でもそれは見つかっていないはずだ。


どうして?


心臓が早鐘を打ち始める。


《お父さんお母さん先立つ不孝をお許しください》


よくある文面で始まった遺書には、学校内でのイジメが詳細に書かれていった。


相手の名前はもちろん、壊されたもの、言われた言葉などが並んでいく。


それは目をそむけたくなるようなものばかりだった。


よく、同じクラスメートにこんなことができるのだと、吐き気まで感じた。


遺書を書いている間、カナさんは時々嗚咽をもらした。


ポタポタと涙が便箋を濡らす。


(そんなに怖いなら自殺なんてやめればいい。カナさんが死んでも、なにも変わらない!)


梓は必死になって呼び掛けるけれど、その声は届くはずもなかった。
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