死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
やがて遺書を書き終えたカナさんはそれを丁寧に白い封筒に入れて封を閉じた。


部屋の中でしばらく思案した後、クローゼットを開ける。


そして、夏服がしまわれていると透明ケースの中に押し込んだのだ。


(どうして!? こんな場所に入れたら、誰にも気がつかれないのに!)


その時、カナさんの考えていることが梓の脳内に流れ込んできた。


(もし自殺に失敗して遺書だけ発見されたら、あたしはもっとイジメられることになるかもしれない。ここに入れておけば、あたしがちゃんと死んだ後、両親が見つけてくれるはず)


カナさんの考えに梓は唖然とした。


そんな意図があってこんな場所に隠したのだ。


けれど、カナさんの両親は遺書に気がつかなった。


この場所を、いまだに確認していないということなんだ!


カナさんは涙をぬぐうと、部屋から出た。


シチューができたと言う母親に「学校に忘れ物をしたから取りに行ってくるね」と、声をかけて家を出る。
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