これは僕と彼女の軌道
プロローグ
高校に進学してから初めて受けた定期テスト。その順位の発表がされる。
「歩は、高校生になっても余裕そうだな」
「普通に毎日勉強しているから当たり前だよ」
「いやいや、毎日勉強欠かさないなんて普通じゃないって!異常だよ!」
「それは、お前が不真面目なだけだろ」
「歩は、本当に真面目で、勉強一筋だもんな。ていうか、少しは身だしなみとか気を付けたら。せっかく頭良くても、そんなぼさったした髪と野暮ったいメガネなんてして」
「うるさい。僕の勝手だろ」
外見に関しては、無骨だと自覚している。黒縁メガネに、無造作に伸びた前髪。他人から言わせればガリ勉な風貌だろう。
僕に語りかけているこいつは幼馴染の龍也。僕と違って髪を明るくして、快活に笑う明朗な人物。
どうしてこんな奴が長年僕と友好関係を築いてくれるのか、未だに謎だ。
龍弥と話していると、廊下で先生が成績順位の発表用紙を掲示板の前に運んでいるのが見えた。僕と龍也は教室から出て、掲示板に向かう。
掲示板前の廊下は既に人でごった返していた。僕たちは人の間をすり抜ける。
「俺の名前あるかなー」
1番前まで来ると、龍弥ら自分の名前を探す素振りをする。
「あるわけないよ。上位100名しか掲載されないから」
「だよなー。俺の中学の成績下の下だったもんな」
「お前、本当に勉強しないと不味いぞ」
「まぁ、追試の面倒頼むわ」
「いい加減に僕を頼らないでくれる」
「いいじゃん。なんだかんだ言って、いつも助けてくれるし」
「...」
「それより、1位見たら」
龍也のバカ騒ぎに付き合ってて忘れてた。でも、多分1位確定だろ。全教科95点以上取れていたから。
1位を視界に入れようと目線を右に動かす。すると、信じられない結果に瞠目した。
ー2位 喜録 歩-
「あ、歩が2位。まじでか」
だが、僕は2位であることに、動揺した訳ではない。確かに、僕は勉強はできる方だが、、上には上がいる。他の中学出身の人で、僕より頭が良い人がいても普通のことだ。
問題は、
-1位 風無 暦-
1位になったのが風無さんだということ。しかもよく見ると、ただの1位じゃない全教科満点だった。
「おっ、風無が学校に来てる。珍しいな」
龍也が顔を向けた方向から、風無さんが歩いていた。
彼女は学校に来ない日の方が多い。格好も学校指定の制服の上からパーカーを羽織って、両耳にはキラキラとしたピアスをしている。かなり大きめの物で、耳が千切れそうだ。腰まで長い髪は軽くパーマをかけていて、彼女が歩くに連れてふわふわ靡く。
僕ら以外にも彼女が1位であることに首を傾げる。この場にいる人全員が視線を彼女に向けていた。
それを気にも留めず、すれ違った彼女が向かっている場所は恐らく立ち入り禁止の屋上だろう。
そう、風無 暦は僕とは真逆に自由奔放な人間だ。
「歩は、高校生になっても余裕そうだな」
「普通に毎日勉強しているから当たり前だよ」
「いやいや、毎日勉強欠かさないなんて普通じゃないって!異常だよ!」
「それは、お前が不真面目なだけだろ」
「歩は、本当に真面目で、勉強一筋だもんな。ていうか、少しは身だしなみとか気を付けたら。せっかく頭良くても、そんなぼさったした髪と野暮ったいメガネなんてして」
「うるさい。僕の勝手だろ」
外見に関しては、無骨だと自覚している。黒縁メガネに、無造作に伸びた前髪。他人から言わせればガリ勉な風貌だろう。
僕に語りかけているこいつは幼馴染の龍也。僕と違って髪を明るくして、快活に笑う明朗な人物。
どうしてこんな奴が長年僕と友好関係を築いてくれるのか、未だに謎だ。
龍弥と話していると、廊下で先生が成績順位の発表用紙を掲示板の前に運んでいるのが見えた。僕と龍也は教室から出て、掲示板に向かう。
掲示板前の廊下は既に人でごった返していた。僕たちは人の間をすり抜ける。
「俺の名前あるかなー」
1番前まで来ると、龍弥ら自分の名前を探す素振りをする。
「あるわけないよ。上位100名しか掲載されないから」
「だよなー。俺の中学の成績下の下だったもんな」
「お前、本当に勉強しないと不味いぞ」
「まぁ、追試の面倒頼むわ」
「いい加減に僕を頼らないでくれる」
「いいじゃん。なんだかんだ言って、いつも助けてくれるし」
「...」
「それより、1位見たら」
龍也のバカ騒ぎに付き合ってて忘れてた。でも、多分1位確定だろ。全教科95点以上取れていたから。
1位を視界に入れようと目線を右に動かす。すると、信じられない結果に瞠目した。
ー2位 喜録 歩-
「あ、歩が2位。まじでか」
だが、僕は2位であることに、動揺した訳ではない。確かに、僕は勉強はできる方だが、、上には上がいる。他の中学出身の人で、僕より頭が良い人がいても普通のことだ。
問題は、
-1位 風無 暦-
1位になったのが風無さんだということ。しかもよく見ると、ただの1位じゃない全教科満点だった。
「おっ、風無が学校に来てる。珍しいな」
龍也が顔を向けた方向から、風無さんが歩いていた。
彼女は学校に来ない日の方が多い。格好も学校指定の制服の上からパーカーを羽織って、両耳にはキラキラとしたピアスをしている。かなり大きめの物で、耳が千切れそうだ。腰まで長い髪は軽くパーマをかけていて、彼女が歩くに連れてふわふわ靡く。
僕ら以外にも彼女が1位であることに首を傾げる。この場にいる人全員が視線を彼女に向けていた。
それを気にも留めず、すれ違った彼女が向かっている場所は恐らく立ち入り禁止の屋上だろう。
そう、風無 暦は僕とは真逆に自由奔放な人間だ。
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