これは僕と彼女の軌道
 だいぶ歩いたところで手を離した。

「ぷっはぁー…お、お前は俺を窒息死させる気か!」

 口が開放された龍也は不満を垂らす。

「そんなに強く塞いでないよ」

「彼女さんと話すぐらいで嫉妬すんなよ」

 まだ勘違いをしている龍也に「だから、風間さんとは友達なんだ」とさっき言いそびれたことを言う。

「ふーん…」

 それでも眉を顰め、「じゃあ、さっき俺と風無さんの引き離したのは何でだ?」と聞いてきた。

「それは…」

 愚直な表現だと意図はなかった。体が勝手に動いていた。だが、そんなこと言った日にはこいつにからかい倒される。

 話題の視点を逸らそうと「そんなことはいいから、勉強するぞ」と言った。

「えっ!さっきの本気だったのか?」

「風無さんが申し出る前から、面倒見るかどうか考えてはいたよ」

 龍也は何を思ったのか二ヤ付き「お前ってホント素直じゃないよなー」と肘をつついてきた。

「教えてほしくないの?」

「いえ!教えてください!」

 途端に手のひらを還す親友の挙動がおかしかった。
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