これは僕と彼女の軌道
生徒会室。今の時間帯は誰もいないから、他人に聞かれたくない話をするには最適だ。
「こんな場所に連れてきてなんだよ?それに2人きりなんて、変な想像しちゃうだろ」
龍也が軽く冗談をほざくが、僕は真正面から向き合う。
「えっ!なにその真剣な態度。ちょっと、まさか本気じゃないよね!俺、男に興味はないんだけど!ちょっと怖いんだけど!」
どうやら僕が先程の冗談を本気にしていると勘違いしているらしい。僕だって、そんな趣味は持ち合わせていないのに。
「そんなわけないだろ。変な勘違いするな」
「あっ…そうなの?よかった」
「風無さんのことで伝えなくちゃいけないことがあるんだ」
誤解だとわかり安堵を浮かべていた龍也だったが、風無さんの名前を出すと意地の悪い表情へと豹変した。
「なるほど。ヤキモチって訳ね。歩も案外ガキっぽいなー」
煽るような言葉と見当違いな発言に苛立ちを覚えた。
だが、表立って出さず、あくまで冷静を装って風無さんのことを説明した。
記憶障害を持っていること。家が金持ちで、財閥の娘であること。彼女との関係性。
以前もあったが、本来なら他人に易々と話していいことではない。でも、これからも彼女と友人関係が続くなら、僕の親友である歩と接する機会は少なからずあるだろう。それに、風無さんは龍也に興味を持っている。また、話しかけてくることがあるかもしれない。
普段歩は口が軽い。だけど、家族や友人などの大切な人なら、その人の秘密を軽々しく言いふらす意地の悪いやつではない。小さいからの付き合いだから、信頼できる。
淡々と話す僕に頷きながら話しを聞く龍也はいまいち理解しきっていないようだった。
「なんかピンとこないな。風無さんが記憶障害で財閥の娘なんて…」
僕も初めはそう思った。障害持ちなのに脳天気…いや明る過ぎる。財閥の令嬢にしては、品が感じられない。
「でも、歩にとって風無さんが大事な人だってことはちゃーんとわかったぞ」
何度も説明したはずだが、龍也はまだ彼女との関係をわかっていない。
否定しようと口を開いたが、先に「じゃなかったら、歩がここまで女子に肩入れするわけないもんな」と口ずさんだ。
龍也の言葉に自分の今までの言動を追憶する。
改まって振り返ると、他者と関わることが億劫だったのに彼女には自ら繋がりを持ちたいと抱いた。
考えてみれば可笑しな話しだ。自分がこんなにも1人の女性に興味を持つだなんて。
「歩。いい加減に気づけって。お前は風無さんが好きなんだよ」
龍也は自分の感情を認めろと諭すように言い放つ。
僕自身も徐々に認めざる負えない感情に気づいてるが、まだ一歩さらに踏み込めそうになかった。
「こんな場所に連れてきてなんだよ?それに2人きりなんて、変な想像しちゃうだろ」
龍也が軽く冗談をほざくが、僕は真正面から向き合う。
「えっ!なにその真剣な態度。ちょっと、まさか本気じゃないよね!俺、男に興味はないんだけど!ちょっと怖いんだけど!」
どうやら僕が先程の冗談を本気にしていると勘違いしているらしい。僕だって、そんな趣味は持ち合わせていないのに。
「そんなわけないだろ。変な勘違いするな」
「あっ…そうなの?よかった」
「風無さんのことで伝えなくちゃいけないことがあるんだ」
誤解だとわかり安堵を浮かべていた龍也だったが、風無さんの名前を出すと意地の悪い表情へと豹変した。
「なるほど。ヤキモチって訳ね。歩も案外ガキっぽいなー」
煽るような言葉と見当違いな発言に苛立ちを覚えた。
だが、表立って出さず、あくまで冷静を装って風無さんのことを説明した。
記憶障害を持っていること。家が金持ちで、財閥の娘であること。彼女との関係性。
以前もあったが、本来なら他人に易々と話していいことではない。でも、これからも彼女と友人関係が続くなら、僕の親友である歩と接する機会は少なからずあるだろう。それに、風無さんは龍也に興味を持っている。また、話しかけてくることがあるかもしれない。
普段歩は口が軽い。だけど、家族や友人などの大切な人なら、その人の秘密を軽々しく言いふらす意地の悪いやつではない。小さいからの付き合いだから、信頼できる。
淡々と話す僕に頷きながら話しを聞く龍也はいまいち理解しきっていないようだった。
「なんかピンとこないな。風無さんが記憶障害で財閥の娘なんて…」
僕も初めはそう思った。障害持ちなのに脳天気…いや明る過ぎる。財閥の令嬢にしては、品が感じられない。
「でも、歩にとって風無さんが大事な人だってことはちゃーんとわかったぞ」
何度も説明したはずだが、龍也はまだ彼女との関係をわかっていない。
否定しようと口を開いたが、先に「じゃなかったら、歩がここまで女子に肩入れするわけないもんな」と口ずさんだ。
龍也の言葉に自分の今までの言動を追憶する。
改まって振り返ると、他者と関わることが億劫だったのに彼女には自ら繋がりを持ちたいと抱いた。
考えてみれば可笑しな話しだ。自分がこんなにも1人の女性に興味を持つだなんて。
「歩。いい加減に気づけって。お前は風無さんが好きなんだよ」
龍也は自分の感情を認めろと諭すように言い放つ。
僕自身も徐々に認めざる負えない感情に気づいてるが、まだ一歩さらに踏み込めそうになかった。