これは僕と彼女の軌道
「昨日あれからずっと既読スルーしてたろ」
学校に行くと、龍也に絡まれる。不満げな龍也を無視して、教科書に視線を戻す。
その行為が余計に面白くなかったのか、「風無さーん。歩が話しがあるって」なんていう出まかせを言い出した。
後方の席に座っていた風無さんは、龍也の声に気づいてこちらへ向かってくる。その姿に龍也はしたり顔で僕を見た。
余計なお節介に額に血管を浮かべるが、風無さんが隣に来た。彼女に心情を知られたくなく、血流が落ち着つくように平静でいることを心がける。
「何かよう?」
「えっと…」
今しがた平常心を心掛けたばかりなのに、話す話題が見つからず窮する。
風無さんに気づかれない程度に龍也を睨むが、「じゃー、俺は自分の席に戻るから。お2人で会話楽しんでねー」と躱された。原因を作った張本人が逃げていき、とうとう龍也対する鬱憤が上限に達した。後であいつを絞めよう。
「ねーねー。無視しないでよ」
風無さんの声にハッとする。いつまでも返事をしないことを不満を感じて頬を膨らませていた。まるで幼い子どものような不満の表し方にかわいいと感じてしまう。
「あっ、もしかして、こうやって人前で話すのやっぱり迷惑だった」
突如、彼女が顔色を変えきまりが悪そうに問いかける。
言われて気づいたが、ここ数日人前でも僕に話けることがたびたびあった。僕が彼女と仲が良いということが知れ渡ると迷惑だからと気遣っていたのに。
「テスト前から歩くん、家に来てくれないから寂しくてつい、我慢できなくて」
龍也の勉強を見るために放課後を使っていたから、風無さんの家の書庫で読書をする余計がなかった。当然家には行けず、彼女が学校で話しかけてこなかったら僕らはまともに交流できなかった。
より愛おしさが込み上げ、僕は彼女を好いているということを認めざる負えない。
「だったらごめんね。今度から気をつける」
しょんぼりする彼女が僕の席から離れていく。咄嗟に手首を掴み引き留めた。
不思議そうな顔で振り返る彼女の顔を見て手を離した。
引き留めたかったのは確かだけど、手を掴む必要はなかった。気持ち悪かったかもしれない。
「ごめん…」
いきなり手を掴んだこと、先程の勘違いを直ぐに訂正しなかったこと、両方の気持ちを込めて謝った。
「…これからは人前でも話しかけて欲しい」
「?」
以前は人目何て気にしてないと言っただけで、会話をしたいとは言っていない。
彼女には人目を気にせず、自然体で接して欲しい。
「それから、…これからは下の名前で呼ぶから」
状況がわかっていない彼女は、もう既に先ほどのやり取りを忘れているのかもしれない。でも、鬼気迫る僕の態度に真剣であることをくみ取ってくれたのか、「呼んでみて」と笑顔で返す。
「暦さん…」
流石に呼び捨ては恥ずかしい。顔を真っ赤にして呟くと「かたいなー」と軽く笑われた。
これ以上の会話は無理だ。
「ちょっと用事思い出したから、続きはまた今度」
僕はある人物をどつくために探し出す。
学校に行くと、龍也に絡まれる。不満げな龍也を無視して、教科書に視線を戻す。
その行為が余計に面白くなかったのか、「風無さーん。歩が話しがあるって」なんていう出まかせを言い出した。
後方の席に座っていた風無さんは、龍也の声に気づいてこちらへ向かってくる。その姿に龍也はしたり顔で僕を見た。
余計なお節介に額に血管を浮かべるが、風無さんが隣に来た。彼女に心情を知られたくなく、血流が落ち着つくように平静でいることを心がける。
「何かよう?」
「えっと…」
今しがた平常心を心掛けたばかりなのに、話す話題が見つからず窮する。
風無さんに気づかれない程度に龍也を睨むが、「じゃー、俺は自分の席に戻るから。お2人で会話楽しんでねー」と躱された。原因を作った張本人が逃げていき、とうとう龍也対する鬱憤が上限に達した。後であいつを絞めよう。
「ねーねー。無視しないでよ」
風無さんの声にハッとする。いつまでも返事をしないことを不満を感じて頬を膨らませていた。まるで幼い子どものような不満の表し方にかわいいと感じてしまう。
「あっ、もしかして、こうやって人前で話すのやっぱり迷惑だった」
突如、彼女が顔色を変えきまりが悪そうに問いかける。
言われて気づいたが、ここ数日人前でも僕に話けることがたびたびあった。僕が彼女と仲が良いということが知れ渡ると迷惑だからと気遣っていたのに。
「テスト前から歩くん、家に来てくれないから寂しくてつい、我慢できなくて」
龍也の勉強を見るために放課後を使っていたから、風無さんの家の書庫で読書をする余計がなかった。当然家には行けず、彼女が学校で話しかけてこなかったら僕らはまともに交流できなかった。
より愛おしさが込み上げ、僕は彼女を好いているということを認めざる負えない。
「だったらごめんね。今度から気をつける」
しょんぼりする彼女が僕の席から離れていく。咄嗟に手首を掴み引き留めた。
不思議そうな顔で振り返る彼女の顔を見て手を離した。
引き留めたかったのは確かだけど、手を掴む必要はなかった。気持ち悪かったかもしれない。
「ごめん…」
いきなり手を掴んだこと、先程の勘違いを直ぐに訂正しなかったこと、両方の気持ちを込めて謝った。
「…これからは人前でも話しかけて欲しい」
「?」
以前は人目何て気にしてないと言っただけで、会話をしたいとは言っていない。
彼女には人目を気にせず、自然体で接して欲しい。
「それから、…これからは下の名前で呼ぶから」
状況がわかっていない彼女は、もう既に先ほどのやり取りを忘れているのかもしれない。でも、鬼気迫る僕の態度に真剣であることをくみ取ってくれたのか、「呼んでみて」と笑顔で返す。
「暦さん…」
流石に呼び捨ては恥ずかしい。顔を真っ赤にして呟くと「かたいなー」と軽く笑われた。
これ以上の会話は無理だ。
「ちょっと用事思い出したから、続きはまた今度」
僕はある人物をどつくために探し出す。