これは僕と彼女の軌道
 夏休み最終日。計画の準備に取りかかる。

 実行する場所は暦さんの家の庭。昨日、帰りがけに大川さんから許可をいただいた。

 買い出しの荷物持ちには龍也を呼んだのだが、待ち合わせのスーパーの前には何故だか薫希さんも来ていた。

「ごめん。歩と電話で計画練っているところを聞いたみたいで、『私も参加させろ』って。暦ちゃんのことは一応説明したけど。あっ、先に大川さんに許可取ってからだから、安心しな」

 その言葉に以前焦りから考えなしに暦さんのことを龍也に話したことを思い出して、耳が痛くなってきた。

「いいじゃない。私も仲間に入れなさいよ。さらに、このスーパー友達のバイト先だから、割安にさせてくれるって」

 安くしてもらえるなら有り難い。月末で予算的に不安があったから。

「歩くん、ごめんね。甲斐性なしの弟だから、歩くんだけにお金出させて」

「って、俺が今金欠なのは、姉ちゃんが没収したからだろ」

「あら。人聞きが悪いわね。私のお陰で、海水浴の帰りに赤っ恥をかかずに済んだのよ。今日だって、1円も出さなかったあんたと違って、資金援助したし」

「ぐぬぬ…」

 姉弟喧嘩に発展しかねない雰囲気だったため、仲裁に入る。

「まあまあ、薫希さん。今回の計画は僕個人のことで、龍也は手伝ってくれるだけでも充分役に立っていますよ」

「まー、歩くんがそう言うなら。今回はこれくらいにして、さっさと選んじゃおう」

 僕らは計画になくてはならない物を買いに店内へ入った。
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