可愛い腹黒後輩の溺愛が甘い。

 本当はもっと過保護にされていいのにな。

 別に屋敷に家庭教師でも呼んで、そこで教わったっていいのに。

 もちろんそのようなことがあれば家庭教師は女だ。

 それか、杏に教えてもらうでもいいと思う。

 本当は誰にも見せたくないのに。

 こんなゴミみたいなヤツらに見られてたら、結乃がドンドン汚れてく。

 まぁ俺は汚いけど。

「はよ、鈴」

「あっ、お前誰だっけ?」

 なんか昨日一年の3学期の時に友達になったような記憶があるんだが……。

「おいおい、俺は水月だ」

「あ、あー水月だ」

「変なところで伸ばすな」

「すみませんねぇ」

 コイツは、転校生。

 そこで仲良くなった。

 コイツも顔面がいいから、一応要注意人物だ。

 まぁ、コイツには好きな人がいるらしいからいいんだけど、一応な。

 まぁ、好きな人を聞いてみるのもいいかもしれない、暇だから。

「今日サボれるか?」

「いいけど」

「オッケー」

 こっそり授業を抜け出して、漫画とかでよくあるように屋上に向かった。

 屋上に着けば、外の景色をすぐに見た。

 風がそよそよと吹いて心地がいい。

「で、好きな人は?」

「韡月」

「え?韡月先輩?」

「は?」

「は?」

 意味わかんねぇなんだよ。

「俺の彼女、いや婚約者の名前気安く呼ばないでくれる?」

「わかったけど、じゃあ俺の婚約者のことも名前呼ぶなよ?」

「いいよ、約束な」

「ああ」

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