Romantic Mistake!
コーヒーを紙カップで買い、カフェの中へ。国内線に乗るため起立して動き出す人の流れに襲われるが、逆らって進んでいく。さてさて、どこにしようかなーー。
「きゃっ!」
誰かと正面衝突した。私の体は衝撃でポンと跳ね返り、尻餅をつく。
「いたたた……」
「申し訳ありません! 大丈夫ですか!?」
頭上から男の人の声がして、そうか男性にぶつかったのかと納得する。冷静に「大丈夫です」とつぶやいて立ち上がろうとすると、その人の手が目の前に差し出されていた。綺麗な手。素直にその手をとり、立ち上がりながら彼の顔をきちんと見るとーー。
「お怪我はありませんか?」
「……えっ」
そこにいたのは予想の遥か上をいくとんでもないイケメンだったため、ピキンと体が固まって動けなかった。心配そうに私を覗き込む彼の背に、後光が差している。
ウェーブのかかった茶髪に、キラキラの長い睫毛。目鼻立ちもハーフの俳優さんのように整っていて、ハイブランドのスーツにはシワひとつない。私に手を伸ばすその姿は、まさに王子様のよう。