Romantic Mistake!
彼の言葉にキョトンとした。
迷惑? もちろん戸惑いはあるけど、迷惑という気持ちはまったくない。私じゃとても桜庭さんの相手役なんて務まらないだろうと思っていたが、少なくとも約一名はお似合いだって言うし不可能ではないはずだ。
なにより、桜庭さんがわざわざ北海道へ行ってきたのに結局パーティーを開催できないなんて可哀想で、このままじゃ私もなんのために北海道から戻ってきたのかわからない。
それにーー。
『仁科さんを傷つけることだけは許せない』
ああ言ってくれて、すごくうれしかった。
「仁科さん、すみません。僕の秘書が大変失礼なことを」
「……いえ。やります私」
気づけばポツリと、そうつぶやいていた。桜庭さんは「え?」と首をかしげる。今度は彼の目を見てきっぱりと告げる。
「私でよければ、代役をやらせてください」
「えっ! そんな」
「乗りかかった船です。桜庭さん、私の旅行が中止になったのに、そちらのパーティーまで中止になったら悲しすぎます。どうか最後まで協力させてください」
彼はまた、助けを求めるような切ない表情になり、「仁科さん……」とつぶやく。本日二度目の彼のヘルプに、私は「まかせてください」とうなずいてみせた。