Romantic Mistake!
腕を差し出され、手を置いた。屋上の庭園へ向けて、一歩一歩ふたりで進んでいく。どうしよう、私、とんでもなくドキドキしている。私の手を引く颯介さんはまるで王子様のようで、このドキドキはもうすでに、うっかり恋に落ちているのかもしれない。
コツ、コツ、と進んで入口の扉の前で止まる。外で司会が「それでは、おふたりの準備が整ったようです」と号令をかけているのが聞こえてくる。結婚式じゃないんだから、ハードルを上げないでほしいのに。
「大丈夫? 麻織さん」
「緊張してます……」
「そうだよね。でも、困ったことがあったら僕がフォローするから、安心して」
頼もしくうなずいてくれて、私も涙目になりながら彼の腕をキュッと掴んだ。
すぅ、と深呼吸をして、しっかりと背筋を伸ばす。ついに目の前の扉が開いた。