Romantic Mistake!
どうしてふたりになりたかったんだろう。ライトアップされたままの庭園に、颯介さんと静かに見つめ合った。なぜこうなったかわからず立ち尽くしていると、彼は私の肩にジャケットを掛け、手を差し出す。
「麻織さん。こっちへ来て。お礼を言わせて」
ああ、お礼か。〝なんだ〟と納得しながら彼の手を取り、庭園を囲んでいる柵へと近づく。そこへ腕を置いてよりかかる彼と同じように、私も隣で夜景に視線をやった。どうしよう、なんかすごくロマンチックでフワフワする。
「今日のきみは素晴らしかった。出会いも、さっきのピアノも、すべて。本当に感謝してる。ありがとう」
心のこもったお礼の言葉にうなずいた。颯介さんの役に立ててよかった。そのまま「よかったです」と言葉にすると、彼はまた熱い瞳をして、私へ体を向けた。