Romantic Mistake!

この胸のときめきはやはり恋なのかもしれない。そう気づいた私はうれしさを隠し、ハハッと笑って誤魔化した。だって颯介さんに恋をしたところで、婚約者役は今日で終わりなんだから。不毛な恋にこれ以上のめり込んで傷つくのは私だ。

「そんなふうに褒められると照れますよ。私にとったら颯介さんの方が優しいです。……もうお会いすることはないかもしれませんが、素敵な一日をありがとうございました」

魔法が解けてしまう気がして寂しさがこみ上げてくる。一瞬でも、こんな素敵な男性の婚約者になれてよかった。それ以上なんて望んでも叶わない。

「……麻織さん」

握られた手はかすかに離れたが、なぜかすぐにもう一度、今度は力を込めて握り直された。私は驚いて彼を見る。

「颯介さん?」

「麻織さんの三連休はまだ終わっていない。僕はきみの三日間を潰してしまったんだから」

「え? そんな、気にしないでください」

「もしきみが嫌じゃなければ、あと二日。僕に埋め合わせをさせてくれないか」

ポカンとしている私に彼はどんどん迫ってくる。彼の綺麗な瞳には私しか映っていない。こんな夢みたいな話があっていいのだろうか。颯介さんとあと二日、一緒にいられるなんて。
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