Romantic Mistake!
嫌なわけない。もう答えは決まっている。
「颯介さん、お仕事は?」
「二日くらいどうにでもなる。差し迫った用件もない。お願いだ、僕を優先してくれたきみとの時間が一番だよ。どうか二日間エスコートさせてくれ」
ここまで言われてはくらりときて、口が勝手に「はい」と返事をしていた。
「よかった。じゃあ、今夜は僕の住んでいるレジデンスのゲストルームに泊まって。すぐそこ、ビレッジ内にあるから」
「え!?」
彼はこの庭園から見える、ビレッジ内の同じくらいの高さの建物を指差した。
さすが颯介さん、あの高級レジデンスに住んでいるんだ。御曹司なんだから不思議じゃないけど、そこに今夜私まで泊まっていいのだろうか。ゲストルームだと言ったから部屋にはひとりだけど、颯介さんとひとつ屋根の下だ。……いや、すっごく大きな屋根だけど。
「いいんですか。お言葉に甘えても」
「もちろん。僕がそうしたいんだ。今からふたりで帰って、明日の朝、部屋に迎えに行く。そこからふたりで出掛けよう」
颯介さんとの甘い夢は、明日になってもまだ続くらしい。スーツケースを持っていつもの自宅へ帰ったら、きっと魔法が解けてしまうだろう。私はまだ、帰りたくない。
彼の手をギュッと握り返し、私は顔を熱くしながらうなずいた。