Romantic Mistake!

人はまばらで、さらに人目につかない場所を探し、ふたりで外を眺める。ヘリの中から見たダイナミックな夜景もすごかったが、こうして静かに見つめるガラス越しの夜景もとてもロマンチックで、ドキドキした。

「颯介さんとのデート、すごすぎます。私もういろいろ胸がいっぱいになっちゃって……!」

舞い上がってそんなことを口走ったが、「デート」という言葉を使ってしまったと気づき唇を押さえた。デートだと思っているのは私だけかもしれないのに。勘違いだったら恥ずかしくて、ちらりと表情をうかがった。

しかし彼は私を覗き込み、「デート、楽しくなかった?」と不安げに聞いてくる。うれしい、デートって言ってくれた。

「もうすっごく、楽しすぎて困りました」

私がそう答えると、彼は夜景に溶けるように綺麗に笑い、思わず目を奪われた。ああ、好きだなあ。颯介さんといると夢を見ているみたいで、ふわふわする。

「……颯介さんって、いつもこんなに人に優しくして疲れませんか。SNSでも話題ですよ。誰にでも優しい紳士だって」

「え?」

失礼だっただろうか。ほかの人には優しくしないで欲しいという嫉妬も入っているせいで、ふて腐れた言い方になってしまう。

「……そうだね、相手に優しくしようとするのは、もう僕の癖になっているから」

颯介さんは柔らかく目を細め、遠くを見つめてそうつぶやいた。
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