Romantic Mistake!

「でも僕は」

颯介さんがこちらを向く。

「麻織さんには、いくらでも優しくしたい。それで、あわよくば、僕を好きになってもらえたらとうれしいと思ってる。優しさで誰かの気を引きたいと思ったのは初めてだよ」

「……え?」

それって……。

私が固まって彼を見つめていると、向こうはこちらへ一歩近づき、腕に触れた。

「颯介さん……?」

引き寄せられ、ゆっくりと抱きしめられる。信じられない気持ちがこみ上げて体がのけ反ったが、ギュッと力を入れられ、頭を優しく包み込まれる。

「僕は……きみを好きになっている。たまらなくなるほど」

耳もとで切なくささやかれた愛の言葉に、じんと瞳が熱くなっていく。

「明日はきみと、恋人としてデートさせてくれないか」

夢みたいにうれしくて涙がこぼれ、目を閉じて胸の中に顔を埋めた。

「……私も、そうなったらいいなって思っていました」

こちらからも抱きついて甘え、ピッタリと体をくっつける。受け止めてくれる彼のいい匂いがして、頭がクラクラする。
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