Romantic Mistake!

「麻織さん……」

耳に口付けられ、「ひゃっ」と声がもれた。それがなにかの合図のように、彼は「かわいい」とささやきながらキスを続ける。誰かに見られていないかな、と気にする隙もなく、彼のキスは唇へと下りて、ふわりと触れる。

「ん……」

こんなに優しくてロマンチックなキスは初めてだ。キスはほんの短いもので終わったが、その後も彼は私の髪を指で整え、お人形を愛でるように触れる。ポーッと全身が熱くなるまま、力の抜けた体を彼に支えてもらった。

「……今夜は、僕の部屋に来る?」

もうその誘いがトドメで、なにも抗えなくなっていた私はゆっくりとうなずき、返事の代わりに濡れた瞳で彼を見つめ返した。
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