Romantic Mistake!
「ん……」
チュ、チュ、と何度もついばむように唇を付け、やがて激しくなり、昨夜のように深いものとなっていく。さすがに朝だからここまでで終わりにするだろうと油断していたけれど、それでもかなり強い刺激にくらくらとする。私はがんばってキスに応え、角度を変える颯介さんに合わせる。
やっぱりこのまま最後までいきそうだと予感がしたとき、甘い空気を蹴散らすような「ピリリリ」という音が鳴った。仕事用の私のスマホがサイドチェストの上で震えている。こんな朝から電話をかけてくる迷惑な人は、ボスだろう。
目を細めて確認すると、やはり画面にはボスの名前が映し出されている。彼は放っておくとたまに大地を揺るがすような失敗をするから、出ないと大変だ。
「あ、すみません……ちょっと出てもいいですか」
「もちろん」
快く離れてくれた颯介さんにペコリとお辞儀をしながら、私は内心〝邪魔しやがって〟とボスに腹を立てながら電話に出る。
「はい。仁科ですけど……」
『おい麻織! ちょっと頼まれてくれ』
いきなり耳に響くボスの声。これでは颯介さんに聞こえてしまう。その不安は的中し、彼は聞こえているようで微かに眉をひそめている。