Romantic Mistake!

颯介さんは私がスマホを切るまで口を開かずにいたが、切った途端「忙しそうな電話だったね。誰?」と尋ねた。

「上司です」

「……上司? 名前で呼び合ってるのに?」

「はい。彼の周りには同じ名字の人が大勢いるので、名前で呼ばないとわかりづらくて」

でもたしかに、他人から見たら、名前で呼び合うのはあまりよくないことなのかもしれない。怒られたような気がして口をモゴモゴさせていると、彼は体を起こす。

「家のシャンプーを買ってきてって命令してくるなんて、ただの上司じゃないだろう」

颯介さんの口調はどんどん厳しくなる。

「上司といえば上司ですが、正しくは彼はボスで、私は秘書なんです。ボスは颯介さんと違ってものすごくワガママな御曹司なので、プライベートな用事も言いつけてくるんですよ。本当、困っちゃってーー」

人差し指を立てて説明をしていると、突然視界が反転し、颯介さんにベッドへ倒された。ポスンと枕に頭が落ち、両手を拘束される。
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