Romantic Mistake!

颯介さんは私の心の中がわかるのだろうか。昨日はたくさんのセレブ体験をして興奮しっぱなしだったから、落ち着いた温泉でゆっくりするのもいいなぁと考えていたところだ。まさか彼から誘ってもらえるなんて。

「もしかして、露天風呂とかあるんですか?」

ワクワクして尋ねると、彼は「あるよ」と微笑んで頭をなでてくれる。颯介さんとふたりで、露天風呂……。今から楽しみでたまらない。緑に囲まれた綺麗な景色に、透明のツルツルした箱根のお湯。ふたりで入るのだろうか。もう、麻織ったらはしたないんだから、と頭の中でひとり芝居をする。

「麻織さん、かわいい。思ってることが顔に出てるよ」

「え!?」

「一緒に入ろうね」

横顔を引き寄せられ、また耳もとで「チュッ」と音がした。夢見心地になり、「準備しようか」という彼の提案にヘニャンとうなずき、骨抜きになりながら準備を始める。
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