Romantic Mistake!
優しさは巡り巡って
山手線の中、ボスとふたりでつり革を持ち、遠い目で立っていた。
ずんと暗い私の隣で、ボスは「見つからなかったらどうすりゃいいんだ?」と呑気に聞いてくる。もう、なにがなんでも見つけるしかないでしょう。私と颯介さんの仲が引き裂かれたのだから、意地でも見つけなきゃ気が済まない。
離れていったとき、颯介さんがどんな表情だったか見えなかった。怒らせたかな、それとも悲しませただろうか。あんなにいい雰囲気だったのに、ボスを優先した私は最低すぎる。どうしてこうなってしまうんだろう。
「おい麻織、元気出せよ」
頭上で無神経な言葉を投げ掛けつづけるボスを「黙っててもらえます……?」と恨めしく睨み付け、再度窓の外の景色に目を戻した。
終わってしまうのだろうか。なにもかも。
思い返してみれば、困っている人を放っておけないこの性格のせいで、私の幸せはいつも後回しになっている気がする。それでも颯介さんに出会えて報われた気がしていたのに。私は泣きたい気持ちになりながら、目的地を待った。