Romantic Mistake!
シャワーを浴び直して再びベッドでくっついていると、彼は横にした体をこちらへ向けた。目が合い、ドキッと胸が高鳴る。
「麻織さん。お願いがあるんだけど聞いてもらえるかな」
「はいっ」
いきなりで驚いたが、彼のお願いを聞かないはずがない。彼はピンチを救ってくれたのだから、恩返しができるチャンスだ。彼は手を伸ばし、サイドチェストの上にあった見覚えのあるA4サイズの封筒を取り出し、こちらへ見せた。たしか、その封筒はーー。
「麻織さん小説に興味あるかな? これを読んでもらいたいんだけど」
「えっ」
少し封筒から出された書類には、【サファイアの大地 ユリウス編(極秘)】というタイトルが見えている。桃香さんが読むはずだった、例の未公開原稿だ。