Romantic Mistake!
うれしさを隠せない瞳で見つめていると、彼は優しく微笑んで原稿ごと私を抱き寄せた。
「颯介さん。……婚約者って」
「ダメかな。僕はこの先、きみと喧嘩をしたり、仕事で会えなくなったり、些細なことで価値観の違いを感じたとしても、きっとこの三日間を忘れることはないと思うんだ。きみに恋をした日の気持ちを何度でも思い出せる」
じんわりと目蓋が熱くなる。私も同じだ。颯介さんのために飛行機で飛んできたこと、彼が私のために婚約破棄をしたこと、そしてベリーヒルズビレッジを総動員して私を助けてくれたことを、忘れられるはずがない。
きっとこの先なにがあっても、この三日間の出来事は私たちを引き寄せて離さないだろう。
「僕の本当のフィアンセになってくれないか」
恋のはじまりは入れ違ったスーツケース。ロマンチックなミステイクから。
END