アオハルの続きは、大人のキスから


「すぐに行く。お前はそこで黙っておけ、って言ったのは、どこのどいつだ? 蘭」

「時と場合によるだろう。まさか、あんな女豹が小鈴に襲いかかっていたとは思いもしなかった」

「まぁね。でも、私が出る幕はなかったようだけど? ねぇ、小鈴」

「え?」

 瞬きをする小鈴に、俊作は柔らかい笑みを向けてきた。

「小鈴は立派にやり返していたよ。最後はあの女、なにも言えなくなっていた」

「俊作さん」

「よく頑張った、小鈴。また素敵な女性になったな」

 以前のように、兄の立ち位置でいてくれる俊作を見て、泣きたくなってきてしまった。

 瞳を潤ませて彼を見つめていると、なぜか意地悪な笑みを浮かべてくる。

「ねぇ、小鈴。やっぱり考え直さないか?」

「へ?」

「あんな意地悪な女がウヨウヨ周りにいる男より、私の方が誠実に小鈴を愛することができるぞ?」

「っ!」

 まさかそんな口説き文句を言われるとは思っておらず、小鈴は顔を赤らめてしまう。
 それを見て、俊作は口元を緩める。

「ほら、そんなかわいい顔を私に晒してしまっていいのか? 攫ってしまいたくなるぞ?」

「ご冗談を……」

 そう言って頬を隠すだけで精一杯だ。すると、再び久遠に身体ごと抱きしめられてしまう。

< 109 / 120 >

この作品をシェア

pagetop