アオハルの続きは、大人のキスから


「お前を忘れるために仕事ばかりしていた。だから、こうしてGMになって日本に戻れただけ」

「久遠さん」

「でもな、小鈴。俺は小鈴がいたから強くなれただけ。俺から小鈴を奪われたら、何にも残らないぞ? そこんとこ、わかっているか?」

「そんなこと……」

「これは本当の話。俺を生かすも殺すもお前次第。だからこそ、俺は絶対にお前を離さない。一生だ」

 腕の中にいる小鈴の左手を取り、薬指に唇を落とす。そこに唇を押しつけたまま、久遠は小鈴を乞う。

「ここに俺の女だって印、贈らせて?」

「私、でいいんですか?」

「小鈴じゃなくちゃダメなんだ」

 チュッと再び薬指にキスをする久遠に、小鈴は抱きついて頷く。

「……印、つけてください」

「ああ。もう二度と離さないから」

 四畳半のスタッフルーム。照明が少なく薄暗い密室で、ゆっくりと影が重なった。


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