アオハルの続きは、大人のキスから
「どうだ。美しいだろう?」
「はい……! え?」
興奮気味に答えたが、違和感を覚える。先ほどまではGMとしての節度を守った話し口調だったのに、今は違っていたような……
慌てて振り返ると、久遠はジャケットを脱いでいて白色のワイシャツにウエストコート姿になっていた。
ホテルのGMという肩書きを脱ぎ捨てたように思え、ドクンと胸が高鳴る。
緊張している小鈴に、久遠は声をかけてきた。もちろん、昔の記憶通りの口調だ。
「久しぶりだな、小鈴。俺の名前、覚えているよな?」
小鈴は小さく頷き、震える唇で彼の名前を紡ぐ。
「久遠……さん?」
「イイ子だ。きちんと俺の名前を覚えていたな」
忘れるわけがない。高校三年生だった小鈴が恋をしていた相手。
最後の最後で理由を言わず一方的に別れを告げて逃げてしまい、ずっと罪悪感に苦しんできた相手だ。
いつか会いたい。会ったら謝罪をしたい。そう思っていた彼が今、目の前にいる。