アオハルの続きは、大人のキスから
「はぁ? 逃げてきただぁ? 謝りもせずに?」
「ひぃっ」
ドン、とビールが入ったグラスを勢いよくテーブルに置き、椿は小鈴を睨みつけてきた。
「どうして逃げてきちゃったの? 小鈴がずっと想っていた元彼なんでしょ? 久遠は」
「そうだけど……。ちょっと待って、椿ちゃん。久遠さんと知り合いなの?」
「アイツとは小中高と腐れ縁なのよねぇ」
「そう、なの?」
「そうなの。久遠は、小鈴が知っての通り、京都の大学に進学してたし、その後は海外のホテルを転々としていてね。実は久しぶりに会ったのよ、ひと月前」
「え?」
「ほら、高校の同窓会があるって話さなかった?」
「そういえば……」
椿が上海に商談に行く前、高校の同窓会があるとか言っていたはずだ。
俊作は「仕事があるから行かない」なんて言っていたが。その同窓会で、椿と久遠は再会を果たし……なぜか、小鈴の話になったということなのだろう。
「小鈴さぁ、私が合コンに誘っても乗り気じゃなかったじゃない? 問い詰めたら、初恋が忘れられないって白状したでしょ?」
「……うん」
「久遠と話していたらさぁ。小鈴の元彼が久遠じゃないかってピンときたわけよ」