アオハルの続きは、大人のキスから
「それで、椿ちゃんは、策を練ったってことだね? 私が彼に謝りたいって言っていたから私と久遠さんを引き合わせようと」
「ご名答! その通りよ、小鈴。なのに、なぁに? 謝らずに逃げてきたってどういうことよ? せっかく再会させてあげたのに」
「うっ……だ、だけど椿ちゃん。私は怒っています」
やはり、今回の一件は椿の策略だったようだ。仕事を餌にして、小鈴と久遠の再会を促したということらしい。憤慨する小鈴だったが、椿の言葉にそれを止める。
「それに、その調子じゃ仕事の話をしてこなかったんでしょう?」
「え?」
「ん?」
「う、ううん。……えっと、スミマセン」
二人を再会させるための建前だと思っていたのだが、本当に仕事絡みだったのか。椿の言葉に嘘はなかったのだと青ざめる。
当初、椿が言っていたように、本当に商談を叔父から頼まれていたのは本当だったのか。
仕事と絡めつつ、小鈴が再び恋ができるよう、過去と決別ができるようにと久遠と再会するセッティングをしてくれたのだろう。
恐らくだが、久遠には小鈴が会いに行くことを椿の方から伝えてあったのだと思う。そうでなければ、小鈴を見かけたときに驚いた顔を浮かべてもおかしくはない。
だが、椿は知らない。久遠がどうして小鈴との再会にOKしたのか。彼は、小鈴を恨んでいて償いをさせようと今回会う決心をしたことを。
ウーロン茶が入ったグラスをキュッと両手で掴んで考え込んでいると、椿は鋭い視線で見つめてきた。
「で? 白無垢は見てきたんでしょうね?」
「え? ああ、うん」
「どうだった?」
「凄かった。とっても素敵な白無垢だったよ」
今思い出してもウットリとしてしまう。それほど素晴らしい白無垢だった。